日本語教師の日記

忘れてしまいたいけど、忘れたら成長できないので恥を忍んで書く日記

【留学生の生活】お正月の過ごし方

さてさて、授業が始まりました。

休み明け一発目の授業では「何をしましたか?」をみんなに聞いていきます。

夏休みは長いですし、開放感がありますから

それなりに楽しい思い出話が出てきます。

しかし、冬休みは違います。

「アルバイトしました」

チーーーーーン

 

9割がアルバイトか、宿題をしました、料理をしました。の答えです。

残りの1割が浅草へ行きましたとかっていう答えでした。

そうです、ただの長い休みだったんです。

 

日本人からするとお正月の雰囲気はもうそれはそれは特別。

年末のなんだか慌ただしい感、「よいお年を」と言って挨拶する

なんだか清々しい一年の終わり。

大掃除だの、正月飾りだの社会人モードから家族人モードに緩やかに変化する時間。

そして、大晦日

こどもがいると紅白も見れないなあとか言いながらダラダラテレビを見る。

 

そして、元旦。

私の記憶では毎年めっちゃ晴れ。空気が澄み渡って元旦らしい空気感があります。

ああ、お正月だなあ。

静かだなあ、静寂だなあ、初詣にでも行くか。

あ、コンビニでお年玉の袋を買っておかないと明日は親戚に会うな

なんかよくわからんが食べて食べて食べまくって

子どもは暇を持て余す。

落ち着いた頃に、正月セールの買い物に出かけ

あああ・・・そろそろ普通の生活か・・ってなります。

 

スーパーに行けばお正月準備で盛り上がってますから

この空気感で留学生も過ごしていると勘違いをしていました。

彼らにしてみれば、いつもと様子が違うだけ。

 

休みに入る前に、この「いつもと違う様子」を興味を持って過ごしてもらうための

工夫をしておくんだったと深く反省です。

 

・スーパーで売ってるおせちの材料を一つ買ってみる

・街で見かけた門松の写真を撮る

・家の大掃除をしてみる

・蕎麦を食べてみる

(ラーメンと同じものだと思っている人がいるのでちゃんと指導)

・駅伝を見てみる

・初詣に行ってみる

 

こんな感じでスタンプラリーじゃないけど項目をあげておけば

アンテナを張ってお正月を過ごせたと思うわけです。

来年はやってみたいと思います。

 

 

【日本語教師のいいところ】休みは休み

長らくサラリーマンとして働いていました。

いわゆるOLでした。

ゴールデンウィーク、夏休み、そして年末年始

が長い休みでした。と言っても1週間程度。

夏休みは自由に取る形だったので

仕事の都合をつけてなんとか休みに突入

夏休みにどこかに行けばお土産を買って職場に帰る。

そんな生活をしていたので、日本語教師になって感動することがあります。

 

それは、休みは休みであるということ。

いわゆる夏休み、冬休み、春休みが

学生と同じくお休みになります。

私は非常勤で働いているのでその分稼ぎも少なくなってしまいますが

それよりも、休みの感動が勝っています。

 

休みになったら普段できない教材の整理をしよう

会話について勉強しよう

漢字の指導法について借りた本を読もう

あれこれ考えるのですが、結局は頭の中もお休みになってしまいます・・・

完全OFFです。

お正月の写真を撮ろうと思っていたのにそれもすっかり忘れて

のんびりしすぎてしまいました。

 

反省・・・

いかんいかん、次の休みこそ、いい時間の使い方をしなくっちゃ。

 

反省しておいて、もうひとつ言うと

長期休みに入るのが、こどもたちが休みに入るのより1週間くらい早いんです。

この1週間が私の中で至極の時間、プレミアムタイム、最高すぎます。

授業がない開放感、やりきった感、そしてこどもたちは普通に学校。

ああ、最高。

 

休み中、「あけましておめでとうございます」の

メッセージをくれる学生が何人かいました。

嬉しいですね。積極的に返事をします。

この時ばかりは女子高生ばりにスマホにかじりついてます。

 

さあ、今日から仕事始め卒業式までがんばるぞ!

(あ!教えているクラス全部2年生だ〜〜)

 

 

 

【私のこばなし】源泉徴収票は捨てるなよ!!

最後の授業で源泉徴収票は捨てるなよという

話をすることになりました。

 

突然ですが

初めて源泉徴収票をもらった時のことを覚えていますか?

私は覚えていません。

なんなら何年間も「1年間にもらった給料はこれかあ、で、何?この紙」

ってずっと思ってました。

で、時々(実際には毎年6月)長細い紙(住民税決定通知書)が

配られて、これもなに?って思っているのが20代の頃の私でした。

 

30代に差し掛かる時に給与計算を担当することになりました。

年末調整を3回経験し、社内の人にキレられたり、感謝されたり

ああ、あの人はこんなにローン背負ってるんだなんて思ったり

さまざまな経験をしました。

 

キレられたのは、私が悪いんじゃないんです。

この所得税の徴収方法がいけないんです。

クソわかりにくい書類を全員出さなきゃいけなくて

普段は仕事しているオフィス空間で突然妻の名前、子供の名前

妻の年収を記入しなくちゃいけなくて

なにがどうなってんだよ!わかりにくいんだよ!!

というストレスでキレるんです。

なんかよーわからんけど、この緑の紙、大嫌い!!

(最近ではプリントアウトなので、普通に黒で印刷されています)

 

これがそっくりそのまま留学生にもおこります。

よーわからん源泉徴収票を12月に渡されます。

え?これなんですか?と聞いても

「もらっといて」という答えでしょう。

なんでもらうのか、そもそもなんなのかを説明されないままに渡されます。

 

そりゃあ、捨てちゃいますよ。

 

前置きが長くなりましたが、源泉徴収票が何かを理解してもらうために、

またコバナシをすることにしました。

 

色々な税金があるけど、どんな税金があるか知ってる??

消費税はすぐにでます。

所得税、これは誰が集めている税金?国です。

じゃあ、市が集めている税金は? 住民税。

 

所得税は会社が国に変わって給料からもらいます。

そして国に収めます。

その金額が1年間でどのくらいだったかなというのが

源泉徴収票」に書いてあります。

(あえて、年末調整の説明はカット)

 

そして、私、個人的にはここからが重要。

住民税はいつ払うの?

今年1年分の給与に合わせた金額を来年の6月以降に払います。

ある日突然、家に届きます。

嫌だと思っても払ってくださいね。

市がゴミを集めてくれたり、みんなの暮らしを助けてくれていますから。

 

そして最後に源泉徴収票は捨てないでください!

と見本を見ながら再確認。

昔は「なんか四角い小さい紙」だった源泉徴収票ですが

現在ではA4サイズになっているみたいですね。

 

保存しておいて何に使うかって?

いろんなところです。

でも、使わないこともよくある。

どっちやねん!

 

 

【私のこばなし】大掃除をはじめる前に

授業最終日は4コマ目が大掃除の予定となっております。

でもまあ、1コマ分も掃除しないだろうと思って

3コマ目が終わって休憩を取って、4コマ目も少し授業をやろうと思ったら

学生たち、心は既に大掃除

目を輝かせて座っていた。

あまりにも目がキラキラしているので思わず

じゃあ、大掃除しよう!としました。

 

__ ちょっと待った〜〜〜! __

私、掃除についてはそこそここだわりがあります。

掃除をして開運してきた自負があります。

 

さあ、ここから私のこばなしが始まります。

 

__ なんで大掃除するの?? __

「どうして一年の最後に大掃除をしますか?」

ごそごそ言った中に、ちゃんとありました「ラッキー・・・・」

はい、そうです!いい神様をお迎えするために綺麗にするんですよ。

貧乏神って知ってる?(なぜかこれは知っている人が多かった)

この神様は汚いところが大好きです。

だから、貧乏神を追い払って新しい1年を迎えましょう!

 

__ で、どんな気持ちでやるの? __

わ〜〜い!4コマ目は授業がないぞ〜〜

わ〜〜いって気持ちで掃除したらダメ!

さあ、どういう気持ちでやるの?

これには、さすがに学生たちもキョトン、このおばさんどうしたんだ?

何を言い出すんだ?の雰囲気。

 

「ありがとうございます」 ですよ。

1年間勉強させてくれてありがとう

1年間座らせてくれてありがとう

ありがとう、ありがとう 

 

__ さあ、掃除、そしてFB __

クラスのみんなでなんだかんだ一生懸命掃除して清々しい気持ちで

終わりました。カバンを持って自分の席にはいるけど、座らず

すぐにでも帰るぞの雰囲気の学生を一旦座らせます。

掃除にも、フィードバックがあるんですよ。

 

やってみて、直せるところをフィードバックします。

 

「ちょっとみんな、自分の机を拭きます、どんな風に拭く?やってみて!」

 

みんな適当に拭く真似をしながら「ありがとございます〜」

おお、覚えてるじゃん。

まあ、それもそうだけどね。

 

ぜひ!木目に沿って、四角い机は角から角

端から端

角から角

きっちり拭いてください!!

そんなこと思いもつかなかったという表情の学生。

 

はたして今日の私のこだわりの掃除レクチャーが役に立ったのか

立ってないのか、知りたい。

喜ばれたのか、鬱陶しがられたのか知りたい。

 

年明け、聞いてみたいと思います。

 

 

【ゼロ初級】入門編が終了!!!

終わりました。遂に終わりました。

全36回の授業が終わりました。

半端ない達成感。

1人で悩んで、1人でチャレンジして、1人で解決してきたこの36回。

大変だったけど、よくがんばりました。私。

 

__ 学生たちもよくがんばりました __

最後まで頑張った人は、全体の3分の1にも満たなかったです。

語学とはコツコツ、同じ時間に勉強する覚悟のある人ができるものですね。

働いている人、子育てをしている人、大変だったと思います。

マンツーマンだったらきっと休んじゃうけど、グループだったら

とりあえず聞くだけでもという感覚で参加できたかな。

 

私がガンガン練習させるからそれもできなかったかな。

色々な人がみんなそろって続けられるレッスンってなかなか難しいものですね。

 

__ 反省点は山盛りあるけど、ひとつ気づいたこと __

夜の9時に始まる授業。日本語学校で授業をして帰ってきて夜ご飯作って

それから授業なので、体力的にしんどかったですが

人間何回かやれば慣れるもんで、どうにかこうにかがんばれました。

 

そしてひとつ気が付いたことは

いざ、授業がはじまればパワーがみなぎる自分がいることです。

子供の頃から言われていた「元気だねえ」が47歳になって

これほどまでに貴重な長所だったのかと感じる日々でした。

 

__ 最後の授業は絞り出してみる授業 __

最後は少し時間的に余裕をもたせて、いつもの会話練習を

「2人で相談して会話を作る」 という形に変えました。

これ、もっと早くやるべきだったなあと思いました。

2人で分からないところを確認したり

過去に習った、あれ、なんだっけ?って言ったり

発音を訂正しあったり

相互学習がすごく充実してました。

 

そして、最後に発表。

みんながんばってました。

ゼロからはじまった彼らが

春節何をしましたか?◯◯山に行きました、スキーをしました

 楽しかったです。それに景色がきれいでした

 それから焼肉を食べました。

 おいしかったです。でも人が多かったです」

こんな内容ををがんばって話していました。

 

形容詞を過去形にするというのがしっかりとできていたのに驚きました。

 

__ 達成感を味わってもらえたかな __

長い会話をペアで発表してもらいフィナーレとしました。

最後にみんなで写真を撮って、本当にありがとうございました!と

笑顔でさようならしました。

コロナが終わったら「東京で会いましょう」

と、言いました。

 

寂しい気持ちより、達成感のほうがはるかに上回る

最終回でした。

 

 

__ 

 

 

 

【経験を積む】川柳の授業にチャレンジ

介護のクラスで「川柳の授業やりませんか?」

とお声がけいただいたので、間髪入れずにやりますやります!

と手をあげてチャレンジすることにしました。

 

ゴールは川柳を作ってその作品をネットから応募する。

それを1時間でやります。

 

__ まずはモチベーションをあげる __

今回は賞品があるので、しっかり紹介。

自分たちが作った文章で賞品がもらえるかもしれないぞ!

眠気がふっとんだのかみんな、目がカッピラいてます

早く、その川柳とやらの作り方を教えてくれ!の雰囲気です。

 

__ 今回はとにかく応募がゴールなので __

面白い留学生川柳をサンプルに5、7、5の拍の取り方を確認。

今回は促音、拗音、撥音については触れずに

字余り、字足らずで大丈夫だから!と進めます。

 

そして、この川柳、どこが面白いなあと思った?と聞いてみたのですが

学生のレベル的に、面白いとはすぐに感じられないようです。

言葉が凝縮されているので、そこから想像するのが難しいみたい。

みんなでゆっくり読み解くと「ああ〜〜〜」とやっと理解。

 

__ まずは穴埋め __

いきなり作るのは難しいので、介護の川柳からみんなも共感できそうなものを

ピックアップ

 

□□□□□ ひとことあれば がんばれる

 

ここの5文字何が入る?面白い!かわいい!難しい!

なるほどなるほど。

で、私が「ありがとう」なんてどう?と出します。

(これは学生からは出ませんでした)

セリフ、人が話す言葉をそのまま入れてもいいよね。

 

この説明は響いたらしく、後で作る作品にセリフを入れた学生が多かったです。

いくつか穴埋めをして、なるほどなるほどとなったところで

よし、次は自分で作ってみよう。

 

__ 思い出してみて! __

ワークシートを用意して、まずは自分の頭の中にある

面白いことや、嬉しかった、大変だったことを引っ張り出します。

これにすごく時間がかかる。

途中、みんなやる気ないのかな?と思うほどペンが動かない。

でも、根気強く続けると自分の仕事を振り返りあれこれ書き始めます。

 

どんな場面? 誰がいますか? どんな気持ち?

どうしてそう思ったの?

こんな問いで記憶をたぐり寄せました。

 

__ よし、5、7、7にしてみよう! __

最初は5、7、5にならなくてもいいからとにかく文章にしてみよう!

ここで机間巡視じっくり学生の話を聞く。

(これが、めちゃくちゃ可愛い!面白いことを一生懸命話してくれるけど

 よくわからなくて、でもやっと私に通じるとすごい笑顔になってくれます)

言いたいことはあるけど、5、7、5の形にするのが難しい。

とにかくいろんな言葉を出してみて考える。

それを並べてみる。

 

気がつくと、私が用意した5、7、5のマスに言葉を書き込んでいる。

すごいぞ。

時間もなかったので、すぐさまそこでサイトを紹介して応募。

住所も入力しなくちゃいけないので四苦八苦しながら応募。

 

__ 賞品のため?ものすごい粘り __

早く終わった子がまだ応募できていない子を助けて

なんとかみんな応募することができた。

時間がオーバーしてもがんばっている子たち。

すごい粘りです。

 

__ 応募前に最終チェックするべきだった! __

応募した作品をワークシートに書いてもらって回収しました。

あとちょっと直せば完璧!って感じの作品がありました。

字余り、字足らずどころか、完全なる自由律も作品もありましたが

なんだかみんな味があってよかった。

 

職員室に戻って周りの先生に見せたけど、うんうん、いいじゃないって

感じでどうにか及第点の授業にはなったのではないかと。

この日は応募で終わってしまったので、今度みんなに発表してもらおうと思います。

 

 

【ちょっとだけ成長】動揺しない

村上龍さんの13歳のハローワークのまえがきを読んで

仕事選びについて考えるという授業がありました。

 

まず、導入で「あなたが仕事選びで大切なことはなんですか?」という

問いかけがあります。

看護クラスで、就職というものが現実味を帯びているので

ほぼ全員がお給料の話をします。

 

職場選びじゃないんだよ、就職先を選ぶ時じゃないんだよなあ。

ド新人だった頃の私だったら

「アワアワ、そうじゃないんだよ、ちがうよぉ、  

 仕事自体を選ぶときだよぉお」となりますが。

この日の私は違いました。

 

「今みんなが話してくれたのは職場選び だね。

 どんな環境で働きたいのか、どんな施設に就職したいのか」

 

「今日は、13歳のこどもにむけたメッセージを読みます。

 みんな13歳の時、どんな仕事をするか決まってた?」

 

ブルンブルン 学生の首が高速回転します。

 

「どんな風に今の仕事を選んだ? 仕事を選ぶ時に大切なことは

 なんでしたか?」

 

学生の顔が、あの頃の純粋な自分を思い出しているのが

手にとるように分かります。

 

「さあ、これから読むのはそういう13歳のこれから大人になる子供に向けてた

メッセージです。」

 

なになに?この落ち着いた対応。

自分でびっくりしたわ。

 

え?それだけのこと?って思うかもしれないけど

これがコツコツと経験を積むことなんだなあと実感した次第。

 

よく、日本語教師は準備に何倍も時間がかかるので

時給で計算すると最低賃金以下だなんてぼやくひとがいますが

私は違うと思います。

 

お金を払って養成講座に通い、就職します。

いきなりお給料がもらえます。

え?この前までお金払って模擬授業していた人が

今度は(ヘタクソな)授業してお金がもらえるの?

びっくりな事実です。

 

私はこの時、思いました。

これは給料ではなく、私への投資だ。

博打に近い投資だ。

だから私はこの投資されている期間にしっかりと成長して

プロの日本語教師になろうと。

 

この投資期間がどれくらいなのかは私にはわかりませんが

私の場合はオンライン授業が長かったので

まだまだ投資期間だと思っています。