日本語教師の日記

忘れてしまいたいけど、忘れたら成長できないので恥を忍んで書く日記

【大反省】笑顔にならない学生はいない。と思う・・

今日、とってもとっても嬉しいことがありました。

嬉しかったと同時に

わたしは大いに反省しました。

ある1人の学生の話です。

 

この人、何をしに日本に来たの?

そんな風に思ってしまう学生に出会ったことがありませんか?

わたしが「なんで日本に来た???」と思った男子学生がいました。

授業中はむっつりしかめっ面。

質問をしても、長い沈黙のあと、単語でちょっと答える。

授業中はいつも腕組みをしています。

コーラスも、リピートもまったくしゃべりません。

マスクしてても分かります。押し黙っているんです。

 

ペアワークをしましょうと言っても

真正面を向いたまま腕を組んで黙り込んでいます。

ペアになった学生も気の毒です。

 

日本語を話さないで、どうやって日本語を話すようになるの?

そんなに嫌なら国に帰ればいいのにとさえ思ってしまいました。

2ヶ月前くらいのことです。

そんな彼が「Happy Birthday」を言うまで

今日、授業が終わって掃除当番の子が掃除をして

わたしが片付けをして ざわざわしている教室で

その学生が私に話しかけてきました。

もちろん、そんなことは初めてです。

 

「先生、土曜日誕生日ですか?」

めっちゃ意外で死ぬほどびっくりしたけど

ここは会話をする楽しさを演出しなければと

「そうですよ!なにをくれますか?(あげもらい授業の後だったので)」

 

彼はニヤッと笑って

「Happy Birthday」

私「ことばだけ?!笑」

内心その言葉が死ぬほど嬉しかったけど

これはツッコミを入れなければいけないと思い

ツッコミを入れ、そしてありがとう!と言いました。

 

思えば、あれがきっかけだったかもしれません

彼の突然のキャラ変ではありませんでした。

実は少し前から、少しずつ笑顔が増え、発話も増え

その発話もなんだか面白いことを言うようになっていたんです。

クラスメイトのウケを狙うようになったんです。

 

以前のブログに書いたkahoot! とと言うクイズアプリで

2位になった学生です。

意外だったけど、その時に盛大に褒めたんですよね。

あの時、彼の心の扉が少し開いたような気がしました。

 

私だけではなく、クラスメイトが拍手を送りすごいねえと言ったあの日から

彼は少しずつクラスメイトとおしゃべりをしたり

隣の席の子と話すようになりました。

 

多国籍クラスの良さを発揮

その時の隣の子というのは、他の国籍の女の子です。

明るくて、誰とでも仲良く話す

教師としてはありがたすぎる存在です。

 

その学生とは日本語でなければコミュニケーションが取れませんから

否応なしに日本語を話します。

ペアワークも真面目な女子が練習したいですから

ちゃんとそれに付き合います。

 

どんな学生にも愛をもって

腕組みして聞いていたのは真剣に聞いていたからかもしれません。

導入して、場面設定をして

個人化した文を作ってもらうと、本当に面白いことを言うようになりました。

その積み重ねで、彼は自分の言いたいことを日本語で言えるようになっていました。

あのしかめっつらは、自分の言いたいことを日本語で言うのにはどうすればいいんだ?

という、いわば便秘みたいな顔だったのかもしれません。

 

わたしは、お茶の先生に言われた言葉を思い出しました。

「教えることは愛ですよ」

本当にその通りです。愛がないとできないんですよ。

心の中に「こいつふざけんな!」とか

「恥かかせて痛い目に合わせてやる!」(ひどいな)

みたいな心があってもいいけど、それはあくまで

日本語を話せるようになって欲しい、そして未来を切り拓いて欲しいと言う

愛がないとダメなんです。

 

わたしは愛と、ドス黒い感情が心の中で葛藤している

ヒヨッコです。

大きな愛を持ち、いつか学生全員の笑顔を見るために頑張っていこう。

そう思えた、誕生日直前のある1日のできごとでした。