日本語教師の日記

忘れてしまいたいけど、忘れたら成長できないので恥を忍んで書く日記

【笈川先生の音声指導養成講座】朗読は教師4回、学生はミュート

音声指導養成講座の修了式で太っ腹笈川先生が

また、新たに情報を共有してくださいました。

その中の一つがタイトルの

「朗読は教師4回、学生はミュート」です。

 

オンラインならではの「学生はミュート」です。

今までのオンライン授業ではいつもカメラつける!

マイクオン!と指導し続けてきたので

ミュートはかなり新鮮です。

何より静寂の中で教師は進めていかなければならないので

それはそれは不安になります。

 

__ それでもやってみる __

ちょうどゼロ初級クラスで補習をすることになりました。

しかも内容のリクエストが発音と形容詞。

やはり発音が気になっていたようです。

ならばこの教えていただいた4回朗読をやってみよう!ということで

やってみました。

 

__ きちんと説明をする __

マイクオフにしてください、4回繰り返しますから一緒に言ってください。

私と同じスピードで言ってください。「上手になります!」

今回ばかりはサポートスタッフに通訳してもらい

新しい練習のやり方をきちんと理解してもらいます。

そして今回の題材は日本語でめちゃくちゃよく使う挨拶のフレーズです。

これを正しく発音できたらかなり印象が違います。

 

__ 4回はかなり多いぞ! __

笈川先生の講座を受けてからリピートは1回じゃなくて3回を意識していましたが

これにプラス1で、4回ですが、これなかなか多いです。

おはようございます、おはようおございます、おはようございます、おはようございます。

そして、自分の発音が4回も繰り返す価値がある発音なのか時々不安にもなります。

もっとアナウンサーみたいにすてきな話し方ができないものか。

次はアナウンス講座を受講するべきなのかなどの考えが浮かんでは消えます。

 

__ よし、1人ずつ発表だ __

練習したものを1人ずつ発表してもらいます。

おはようございます、こんにちは、こんばんは

お先に失礼します、ありがとうございます。

 

ちょこちょこ直しをいれます。

おはよーございます、ありがとーございます

長音になることを説明すると一気にスピードがあがります。

本人も、おお!言いやすいじゃんという感覚があるようです。

 

お先にの「お」が円唇してしまう人もいました。

講座が始まる一番最初に教えた「い」の口で発音だよをいうと

あっという間になおりました。

 

他にもよく使う言葉を練習してみなさん発話しまくりました。

サポートスタッフも練習してました。これ何気にすごく嬉しい。

そしてたった30分の発音の補習でしたが驚くほどよくなりました。

スピードがつきました。

 

__ またまたここで気がついた・・・ __

褒めました、すごく褒めました。

でも一つ言い忘れたことがあったことがあることに気がつきました。

今、みんなは入門を学んでいるけれど発音は何年も勉強した人みたいに

上手です。自信をもってください!と伝えるのを忘れてしまいました。

 

「褒める」はそのスピード(すぐさま褒める)と

厚み(表面だけ褒めずに重厚な褒め言葉を)があったらすごくいいのかも

と今更ながら気がつきました。

あと、広がり(そこも褒めてくれるんだ!!)もあるかな。

褒め言葉箪笥を充実させないとね。

 

 

 

【日本語教師あるある?】私ってものすごくバカなの??

授業準備の時は全然気が付かないんだけど

授業をはじめたら、あちゃーーーーーーー

なんでそれを考えておかなかった?という事態に陥ることが多々あります。

 

__ 欲しいものを買うという授業 __

教科書「いろどり(入門)」のクラスで

「電池がほしいんですが、どこで買えますか?」というのをやりました。

「〜がほしんですが」をフレーズで覚えます。

「ん」が入るので少々難しいですが、繰り返し練習します。

代入練習をいれながら発音できるように練習します。

そして、代入の最後に自分が欲しいものを考えてもらいました。

 

__ どこで買えますか? その本当の意味 __

1人、3つ考えてねと指示を出してグループワークへ

ブレイクアウトルームを回ってどこで買えるかを教えていきます。

そこで出てきたのが

「本がほしいんですが」「花がほしいんですが」

 

馬鹿な私はそれにそのまま答えます

「本屋ですね」「花屋ですね」

そして答えて気がつきます

そんなん誰だって知ってるわ!!馬鹿にしてるんかい!

 

ここで聞きたいのは

その本屋や、花屋がどこにあるかって聞いてんだよ!!

 

いろどりはそういう教科書なんです。

だから答えとしては「ショッピングセンター」

「ショッピングモール」などが妥当でしょう。

ああ、あそこのイオンねとか、ああ駅前のルミネとか

すぐに買いに行けます。生活者が日本で生活するための教科書ですからね。

 

改めて謝ります

本が本屋で売ってること、花が花屋で売ってることを

教えてしまってごめんなさい。

最後の発表の時は「本屋はショッピングセンターにあります」と追加して

どうにか乗り切りました。

 

ふーーー。

 

【オンライン授業】ついに対面授業へ!

1年半に以上にわたって続いたオンライン授業が

いよいよ対面授業になる時が来ました。

日本語教師としてデビューしてすぐにコロナ、休校、オンラインとなって

しまったので

やっと対面に戻れるね

ではなく、対面で授業なんてどうやってやるんだ?

の感覚です。

 

教務室とか、タイムカードとか、教材の本棚とか、コピーとか

何もかもが緊張の連続ですが周りに人がいる

雑談に混ざる、担任の先生と気軽に話せるなどなど

いいことの方がたくさんあります。

 

__ いざ教室へ! __

緊張しながら教室へ行くと・・・いました いました!

画面に映っていた学生たちが。

思っていたより大きい子、思っていたより小さい子

わー先生だって笑っている子、なんだかすごく緊張している子

私もあまりに緊張して、出席取るのを忘れたり

アイスブレイクもなしにいきなり授業はじめたり

アワアワしちゃいましたがなんとか時間内に授業を終わらせることができました。

 

__ やっぱりいい __

オンライン授業だと反応までに1秒弱のタイムラグがあるんですよね。

そのタイムラグって積もり積もってかなりの時間になります。

それがストレスになっていたことに今更ながら気がつきました。

 

学生はみんな意外と真面目にやってました

いや、そう見えるのかも。

体の向きを変えて学生同士で話し合っている後ろ姿とか

健気すぎて輝いて見えましたよ。

 

疲労度合いは、オンラインと対面授業と同じくらいかな。

いや、オンラインかな。対面授業は通勤という時間が必要なので

それでトントンくらいでしょうか。

 

対面授業はエネルギーの消費だけではなく

学生からのエネルギーも吸収できるので

消耗しないんです。

逆に言えば、学生からエネルギーを出せるような授業をすれば

日本語教師は疲れ知らずの、老い知らずになるのでは。

 

ベテラン先生が若々しいのはそういうことなのか?

アンチエイジングとしても日本語教師、なかなかいい職業についたもんだ。

 

と、全然関係ないことを考えてしまった

対面授業初日の夜でした。

 

【ゼロ初級】アイスブレイクで思う、便利な世の中

使える表現が少ないゼロ初級でのアイスブレイクは

苦労するものですが

形容詞を学習してからは、それが一変します。

たとえ、形容詞の授業で習っていなくてもこれを機に

教えちゃうことだってできます。

 

__ 天気の話はやっぱり最強 __

夏の終わりからはじまったこのクラスはだんだんと秋になり

そして冬の訪れを感じるほどの時間を共に過ごします。

涼しいと、寒いを適切なタイミングで入れれば

「おお!これが涼しいかあ」「おお!これが寒いか!」とわかります。

 

寒さなんて人によって感覚違うしと思いますが

そこはご安心を。みんな天気の話をするとすぐさま

スマホの画面を見て温度を確認、おお、これはだいぶ涼しぞと

実感することができます。いやいや便利だわ。

 

__ 117に電話していた時代は遠い過去 __

日にち、曜日、時間の言い方を学習してからは

今日は何日ですか?何時ですか?

なんて質問をしています。

 

そして何時何分ですか?なんて質問をした時にテクノロジーを感じます。

みんな、9時23分です。

と、1分単位で正しい時間を言うことができるんです。

これ、何気にすごいことですよね。

昔、結婚した当初の旦那さんが毎朝117に電話して

腕時計の時間をセットしているのを見てなんて几帳面な人なんだ!

と驚いたことを思い出します。

そんなことをしなくても、スマホを見ればそれこそ秒単位で正確な時間がわかります。

 

 

家族の写真を見せるとか、旅行に行った写真を見せるなんていうのも

すぐにできます。

できるというより、そういう場面設定の会話まであります。

昔だったら家から写真を持ってきて・・・って話でしたでしょうから

確実に世の中が変わっているのを感じます。

 

 

 

【教科書「いろどり」を使う】日本で生活する人向けの教科書だから

ゼロ初級のクラスで使っている教科書「いろどり(入門)」

本当に、日本で生活する人がまずは困らない状態を目指すように

作られています。

 

イコール、日本に行ったこともない

この時期すぐに行く予定もない

現在の生活で日本語を使う場面がない

でも、ずっと日本語を勉強してみたかったという人には

ちょっと不向きな、いや、不向きとまでは言いません。

なかなか厳しい場面が続きます。

 

__ モデル会話の語彙セレクションがガチ __

一番使う可能性が高いものがモデル会話に使用されます。

先日困ったのがこれ

「日曜日にさくら公園でタイフェスティバルがありますね

 いっしょに行きませんか?」

このタイフェスティバルがカタカナだし、言いにくしでなかな言えない。

頼む・・「コンサート」とかにしてくれ。

わかりますよ、生活者がコンサートに行く機会より

無料でやってる気軽に行けるフェスティバルに行く可能性の方が高いということ。

 

ここで初めて私はモデル会話の語彙は言いやすいものに変えようと気づきます。

 

__ 外来語発音良すぎる事件 __

留学生相手だったら、外来語は別のものだからそれじゃ通じないよ

しっかりと「トイレ」って言いましょう、「トイレッ」じゃないです。

と指導しなければいけませんが

なにせ日本で生活していませんから、彼らの流暢すぎる英語の発音を

訂正するのがかなり難儀です。申し訳ないです。

でも、たくさんたくさん外来語が出てきます。

イベント、バーベキュー、パーティー、テニス

バスケットボール・・・・

これらの発音を直しながらなんか不思議な気持ちになるんです。

自分はそんなちゃんとした英語の発音ができないのに

その発音をダメだと言い、日本的発音に直す。

発音良すぎてもなんとか通じるしね。

ええやんって話ですよ。

 

__ じゃあ、何が楽しい? __

日本語自体を勉強してみたかったという人たちですから

じゃあ何がウケるんだろうって日々考えているんですが

あ、先生と会話したっていう瞬間が大事かなと思っています。

 

だからアイスブレイクが大事。

既習のものを駆使して世間話にもっていかなければなりません。

その技を研究していかなければならないと思います

よし、次はその技を考えます。

 

 

 

【文型】たとえ〜も

たとえ明日世界が終わるとしても 今日を普通に過ごそう。

の、「たとえ〜も」です。

接続が少々難しいですが、N2のクラスなのでその辺は余裕でした。

 

問題はこの、たとえ(こんな条件があったとして)も・・・・

前件と後件がしっかり合わないことが出てきます。

*たとえ明日雨が降っても寒い

  

少々の混乱があるのでこの文でグループで話してもらうことにしました

「たとえどんなに_____も彼/彼女と結婚したい」

「たとえどんなに_____も彼/彼女とは結婚したくない」

 

__ ストーリーを作って貰えばよかった・・ __

若干の混乱はありました。

「たとえどんなに貧乏でも彼と結婚したくない。」

 

『私だって結婚したくないですよ〜』

って言ったら、あ!って感じで気がついてちゃんと

「たとえどんなに貧乏でも彼とは結婚したくない」

 

そこですかさず

『どうして?』って聞くと言葉に詰まるんですよね。

例文をきちんと作った時点で終わっていました。

 

貧乏な彼と何があったのでしょう。

どうしてそう思ったんでしょう。「たとえ〜も」を使うほどに結婚したい理由は

なんなんでしょう?

きっとそこには物語があるはずです。

それも含めて考えさせるべきでした。

 

彼は今、役者を目指して勉強している。

生活はとても苦しい。でも、彼には夢がある。

そんな彼の夢を支えたいから

私はどんなに貧乏でも彼と結婚したい。

 

このくらいの文は作れたはずでした。失敗した・・・

ちゃんとオチをつけてくる学生が多いクラスだったから

尚更だ。

失敗!!

 

 

 

 

 

  

【聴解】聴解授業に達成感を!

この問題は何も印刷されてません・・・

JLPTの聴解問題はこんな問題が出てきます。

ですから、授業では何も見るものがなく

ただただ流れる音と格闘する授業になるので

非常にぬるっとした仕上がりになってしまいます・・

そんなぬるっと仕上げの聴解授業で

学生が達成感を得られる投げかけを試行錯誤しています。

 

__ 日本人の会話、なりきって言ってみる __

会話文、即時応答は本当にその辺にある普通の会話。

省略あり、縮約あり、察してくれ発言ありの

難しいやつです。

ですから、それらをなりきって音読してもらっています。

 

先日は「ただ・・・、そうは言っても、だからって」と同意しない時の

言い回しを勉強したのでひたすら、それっぽく言ってもらいました。

だんだん上手くなってくるのが分かるんですよね。

すごく短いですし。そこで盛大に褒めます。

続く練習問題でこの言い回しが出てくるとやっぱり

聞き取れるんですよね。

自分が一度言ったもの、使ったものは聞き取れる確率が上がると信じてます。

 

__ 書いて文字にしてもらう __

紙とペンを準備してもらって、聞き取れたそれらの言葉を書いてもらいます。

そして、カメラで全員見せてもらいます。

聞き取れましたね、綺麗に書けましたね、ノートの使い方が上手ですね

小さくて使いやすそうなノートですね

もう、なんでもいいからオンラインで頑張っている学生に近づいて

褒めます。

 

書いた言葉はきっと忘れないと思うし

JLPTで出てきたらちゃんと答えられると思います。

 

__ 文字にしてたくさん出してみよう! __

オンラインの良さは、全員が同じ環境で音源を聴けること

そして、「聞き取れたことをここに書いて」とネットを使って

簡単に共有できることです。

 

私はPadletを使っています。

先日はこんな問題をやりました。

ちょっと長めの問題で、男女が旅行に持っていくものを話していて

「この後何を準備しますか?」という質問が続く問題です。

 

着替え、歯ブラシ、カメラ、・・・

みんなで協力すればほぼ全てが揃います。

それらを確認してからそれぞれ、準備してあるか、

それとも準備していないのでこれから準備するのかを分けていきます。

 

自分たちで残した文字(入力したものだけど)を先生が動かして

みんなが見て、クリアに整理していく

なんだか楽しいもんだなあと思いました。

 

これをやった時はなんだか少しだけ達成感があったんじゃないでしょうか。

「先生また来週〜」の声がとても明るかったです。