日本語教師の日記

忘れてしまいたいけど、忘れたら成長できないので恥を忍んで書く日記

【文型】〜て来ます(教室で起きた奇跡)

導入の部分でいつものように演技を始めます。

DVDを見ます、DVD,DVD・・・・あれ?ない

「ちょっと取って来ます。」

 

基本ボケているわたしなもんで、学生たちは

導入劇場と思わなかったようでキョトンとしていました。

わざと演技風でやったんだけどなあ。

 

導入、接続確認をした後

改めて場面設定をして確認します。

授業が終わって友達と帰ります、学校を出たところで

「あれ?スマホがない・・・」

という場面設定を丁寧に、丁寧にしていたら

ある学生が立ち上がります。

 

奇跡が起こります

あまりできない学生が、立ち上がって私の方に歩いて来ます。

お腹に手を当てているので、これはトイレだなとすぐ分かります。

わたしは彼の行くてを阻み、いかにも練習風に

「どうしたんですか?」

と聞き、ホワイトボードを指さします。

 

学生「ちょっと・・・・トイレに・・・・いきます・・・」

わたし「ん??」

学生「ちょっと トイレに 行って・・・」

他の学生がボソボソと「行ってきます」と助け舟を出します。

でも、当の本人はお腹が痛いやらなんやらでそれにも気が付きません。

もう一度ホワイトボードを指さして

学生「ちょっとトイレに行って来ます」

わたし「はい、どうぞ」

学生達「おおおお〜〜〜〜〜!!!拍手」

 

まじで鳥肌が立ちました

教師がいくら場面設定しても、学生がその場で起こしたリアルな場面には

とうてい勝てません。

これで、このクラスはちょっとトイレに行ってきますを覚えたに違いありません。

わたしは素直に嬉しくて

「すごいね、すごいね。みんな覚えたね」と興奮していたら

〜てきます の前に教えた様態の〜そうです を使って

「先生うれしそうですね」と言った学生が居たんです。

 

いや、震えますね。

興奮しますね。

こうやって日本語を使えるようになるんだなあと思えた瞬間でした。

 

いくら準備しても、こういうことには敵わないから準備しない!と思うのではなく

一生懸命準備したからこそ、神様がこの奇跡をプレゼントしてくれたと思いたい。

 

次なる奇跡を目指して、またがんばりましょう!