日本語教師の日記

忘れてしまいたいけど、忘れたら成長できないので恥を忍んで書く日記

【大失敗】その方面にやすやすと足を踏み入れるな!

語彙の時間のできごとです。

いつものように読み合わせ、意味確認。

時々、語彙をきっかけに日本の生活に関係するものを

深堀したりしながら進めた後の出来事です。

 

そして私は沼に足を踏み入れた

今日は「バス」に関する単語でした。

わかりにくい単語もないですし、名詞が多かったので

いつもなら 「2つ以上の言葉を使って文を作ってください」なんですが

今日は

「〜〜たら_____た」の形で作ってみましょう。と指示を出しました。

 

バスに乗る、降りる、そこでの経験を文にしてもらえればいいかなと思っての

設定でした。ちょっとレベルを上げて取り組んでもらおうという気持ちでした。

浅はかでした。

私はこの先に何が起こるのか、まったく想像もできませんでした。

 

要は「たら」だけじゃ足りなかった

エレベーターが満員だったら降りました。

→エレベーターが満員だったので・・

 

朝起きるのが遅かったら電車が混んでいた。

→朝起きるのが遅かったので・・・

 

バスが満員だったら、降りられなかった。

→バスが満員になったので、降りられなくなってしまった。

 

交通費を節約したら、バスを降りて歩いた。

→交通費を節約するために・・・

 

お年寄りに席を譲ったらずっと立ってました。

→お年寄りに席を譲ってから・・・・

 

〜たら、〜と、〜ば、〜ので 方面の沼

よーーーし、今日はこの違いを教えるぞぉって

日じゃないもんですから、私のような経験の浅い日本語教師

この辺りの混沌をすっきりさせる術がありません・・・

なのに、自らこっち方面に、考えもなしに足を踏み入れてしまいました・・・。

詳しく新たに整理する時間もないので

理由を述べて修正するのみにとどまりました。

 

よかったのか、わるかったのか

みんなが文作したものを私が大幅に修正するもんだから

満足感下がるよなあ。

なるべく、学生達自分自身の力で直すところは直してもらいましたが

それでも、「〜たら」で文を作れって言ったのに 「〜たら」を消していくわけで

先生への信頼感は地に落ちたのではないかと反省しきりなのです。

 

でも、修正した表現をみんな一生懸命メモしてるんですよ。

そのメモした言葉を、次に使えたら最高なんだけど。

 

語彙の文作のレベルの上げ方を自分なりに考えておかないといけませんね。

反省反省。

【ちょっと考えたこと】色々なクラスを指導する上で考えること

日本語教師3年目ともなると、色々なクラスを受け持つようになります。

学生の国籍も様々です。単一国クラス、混合クラス。

実はそんなことは教える上では大して重要ではなく

一番重要なのは、彼らの「最終的な目標」であるということを

強く意識するようになりました。

 

これから色々なクラスを教える上で教師が調節する項目を考えてみることにします。

今日はどのクラスにも必ずある漢字の指導について考えました。

 

①見て意味がわかればいい。

完全なる試験対策です。しかし見てわかるだけだと聴解では苦労します。

肝心なキーワードが聞き取れないということがしばしば起こります。

 

②意味がわかって読めればいい

このレベル感が一番多いのかな。

試験でも対応可能、日本での日常生活でも問題なく過ごすことができると思います。

文字にしたかったら音声入力なり、自動変換なり使えばいいので

生きていけるでしょう。

 

③意味がわかって、読めて、書くことができる

これは日本で仕事をする上では重要なスキルです。

手書きで業務日誌やメモ、引き継ぎをしなければいけない場面があるような

お仕事の現場では絶対に必要なスキルです。

ひらがなで書いてもわかるけど、多くの人が読むとなると

漢字が入っていた方が、読みやすく誤解を産むことも少ないでしょう。

ですから、書ける漢字は書く、その書ける漢字を増やしていくが大切になります。

 

④意味がわかって、読めて、きれいに書くことができる

私の完全なる個人的な感想ですが

漢字をきれいに書くには、それなりの努力の量が必要です。

生まれついた才能とかではありません。

どれだけ真剣に漢字と向き合って、たくさん書いて

きれいに書きたいという気持ちを持ち続けていたか。

それが全てきれいな漢字に現れます。

 

それを見た日本人はどう思うのか。

「がんばってるね〜」「きれいに書くね〜」と

高評価間違いなしです。

 

高評価は好印象に、好印象は良き人間関係に

良き人間関係は、働きやすい職場環境につながっていくと

私は思っています。

そりゃあもちろん、字がきれいで無愛想な人はダメですよ。

 

漢字を楽しんで勉強できるような授業を考えなければいけませんね。

これは次の課題とします。

 

【大失敗】完璧にできるのは簡単すぎるから、もっとハードルを上げるべきだった

今日は前件と後件をペアで仕上げるという文作をやってみることにしました。

まずペアを決めます。こればかりは2人がいいです。3人はダメです。

そして AとBとグループを決めます。

ここはしっかりと分けます。

 

まずは同時進行の文型から

〜と同時に、〜最中、〜と一緒に、〜ている時に

これらの文型を使って前件を考えてもらいます。

「まずはAの人だけが書きます。はい、書いてください」

BのひとはもちろんAの人もポカーン

 

いけませんでした・・

今までの授業で前件だけ考えて終わりなんて授業ありませんでしたから

そんな中途半端なことをできるわけがありません。

 

この時点で「後件はBの人が考えます。と説明するか。

まずは、見本をやってみるべきでした。

前件を学生、後件を私がやる。これを何回かやればすぐにわかったでしょう。

大失敗です。

 

なんとか仕組みを理解した学生たちが文を2人で作ります。

同時に起こるものという文型を勉強しているという前提が薄かったのか

「彼氏と一緒に日本に住みたいです」なんていうのが出ていまいました・・

まあ、いいでしょう。

 

お次は前件の変化に伴って後件も変化するやつです

〜とともに、〜につれて、〜にしたがって

今度はAとB、役割を交代します。

2回目なので今度はうまくきました。

 

そしてみんな上手に作ってくれました。

時間とともに愛が深まります。

なんていう文まで出てきてみんな言いたいことをうまく言えていました。

 

が・・・・もうちょっと難しくてもよかったかも

自由に文を作らせたのですがもう少し縛りがあってもよかったかもしれません。

例えば

困ること

悩むこと

嬉しいこと

通じるのであれば「◯◯あるある」

 

できるクラスだからと、できることに安心している場合じゃありません。

レベルを上げるために、表現の幅を広げる勉強をしなければいけないなあと

思った次第です。

 

ちなみに私の場合だと

子どもが大きくなるにつれて反抗的で困っています。

年をとるにつれて目が見えにくくなって悩んでいます。

体重が減るのにしたがって、体脂肪もへってきて嬉しいです(嘘です)

夜遅くなるのにしたがって、目が見えなくなる。(初老あるある)

 

む、む、難しい・・・

 

【ちょっとだけ成長?】恥ずかしいという気持ちはどこかに捨ててきました

教室授業になりますと目の前には

キラキラした目をした若者たちがこっちを見て座っています。

そんな彼らの期待に応えるために奮闘するわけですが

先日こんなことがありました。

 

「〜において」の文型を使ってクラスメイトを紹介する

前回のブログでも書きましたが

「◯◯さんは、〜においては誰にも負けません」での出来事をちょっと詳しく。

ペアになってお互いの誰にも負けないことを考えます。

誰にも負けないだから、クラスで一番じゃなきゃいけません。

料理、漢字の勉強などなど・・・

この辺りは簡単です。

 

できる子は違います。

誰にも負けないってことは、一番じゃなきゃいけないから

発表したところで、クラスのみんなと比べて微妙なものはダメだという考えに至ります。

そうなると他の人がやらないことを見つけなきゃってなるんですよね。

こういうのがセンスだなあと思います。

 

みんながやらないものは先生、よく聞き取れません

しかし問題はここからです。オリジナリティに溢れると語彙の予測が

私の想定の範囲を超えていきます。

「◯◯さんはウラッコゥにおいては誰にもまけません。」

????

私「ウラッコウ??」

学生「ゥラ っコウ!」

私「ラッコ?」この辺りでやばくなってきます。

ホワイトボードに「ラッコ」と書いたら

学生が前に出てきて正解を書いてくれました。

 

やりました、私は、ラップを!

正解は「ラップ」だったんです。

私「あ〜〜〜〜〜〜〜〜!」

「Yo、Yo!Hey Yo!  ね」 と全力の振りもつけてやりました。

(どんな振りかはご想像にお任せします)

今までの張り詰めていた空気を自ら打破

めちゃくちゃウケました。学生がゲラゲラ笑っているから

追いラップで

「ラップで ラップしといてYo」といつも夫婦でやっているラップを披露。

 

その場で彼にラップやってもらえばよかったと後になって反省。

 

充実感に満ち溢れる47歳

ああ恥ずかしかった。そんな感想はありません。

今日も、できることを精一杯やった。

ラップの簡単なフレーズくらい練習するべきだった。

そのくらいの前向きな気持ちです。

学生が笑ってくれればそれでいい。

いや、「〜において」を覚えてくれればそれでいい!

 

この話を家族にしたら

お年頃の中一の長男はマジでドン引き

お母さん、そんなことしてるんだ・・・

はい、してますけど、なにか?

 

【文型】〜において

接続は簡単ですが、会話表現ではありませんから

例文の内容が難しくなりがちです。

今日は、内容をしっかり理解して使えるようになってもらうことを

目標としました。

 

流れは以下の通り

① Nにおいて 

②◯◯において_(後件作成)_ 

③ _(前件作成)_において(大切なのは、誰にも負けません)

④活動 

 

① Nにおいて

まずは場所からはじめます。簡単です。

卒業式の場所、次のオリンピック、第一回オリンピック

さてどこ?って感じで進めます。

 

場所で口が回るようになったら次です。

テレビ業界においてライバルは___です。

これは、テレビという概念自体がもう、世代というか国というか全然違うので

テレビよりYouTubeの方がおもしろいよねとかわざわざいう感じじゃないんです。

なのでわかるまでに時間がかかりましたが

TikTokFacebookInstagram色々言ってくれました。

 

②◯◯において_(後件作成)_ 

最近使うようになった言葉「コロナ禍」

コロナ禍においては_________________

コロナ禍を理解してもらい、後ろの文章を文末までしっかりと作ってもらいます。

「マスクをしなければなりません。」

「アルコールで手を消毒しなければなりません」

などなど、今の大変な暮らしを表現していました。

 

恋愛において大切なのは_______

この例文は学生が大好きですから盛り上がりすぎてました。

 

③ _(前件作成)_において(大切なのは、誰にも負けません)

「において」の前の部分を入れていきます。

もしかしたら、こっちの方が簡単だったから先にこちらをするべきだったかもしれません。

失敗。

 

④活動 

今日もポジティブシャワー例文で参ります。

「◯◯さんは___においては誰にも負けません」

ペアになってもらい、相手の得意なことを聞き出して

みんなの前で発表してもらうことにしました。

「ペアのうちどちらかにお願いします。」と指示を出したのですが

みんながスラスラとお互いのことを言ってくれるので

全員に発表してもらいました。

 

このクラスのみんなはすごいね〜〜とみんなで拍手して終わりました。

うん、ポジティブ。

 

反省

1、「〜において」と「〜においては」の使い分けを特段説明しなかった。

2、「〜における〜」は今回は扱わなかった。

3、前件後件、全部を文作してもらうことをしなかった。

宿題がちゃんとできていますように・・・

 

 

 

 

 

 

【文型】のようだ

タイトルは「Nのようだ」としましたが今回扱うのは

①「Nのようだ」

②「NのようなN」

③「Nのように[動詞またはい形容詞]」

 

なるべくポジティブな場面で使ってほしいですから

最後の活動は「◯◯さんは___のように___ですね」なんて

感じで褒め合う。うん、悪い気はしない。

これが今回の授業の最終目標です。

 

__ ①Nのようだ __

琵琶湖の写真を見せて、大きいですよね〜

え?これ海?? なんて迫真の演技をすれば

「海のようだ」を言ってくれます。

木登りする子供の写真を見せれば 「猿のようだ」が秒で出てきます。

これは世界共通なんだなと実感。

 

「Nのようだ」 これだけなら簡単です。

「琵琶湖は大きくて 海のようだ」

「木に登るのがうまくて 猿のようだ」

この ”大きくて”、”うまくて”をすっ飛ばしてしまったのが今回の反省点。

 

__ ②NのようなN  __

ここにきて 「まるで」を導入して

「風が強くてまるで台風のようだ」

Tえ??台風ですか? 

Sちがいます。

Tじゃあなに?

S台風のような風です

 

この流れで NのようなN は何個かの例文を経て理解してもらいました。

 

__ ③ Nのように[動詞または、い形容詞] __

動詞も使えますよ。そこで私は声色を変えて、さらにジェスチャーもつけて

「コンニチハ、 ワタシハ ロボット デス」(ロボットのように)

 

ロボットの語彙も導入せずに、いきなりこの演技をはじめた私。

勢いで押し切ります。

「ロボットのように話します」

っていうか「ロボットです」って言ってるし・・・

色々ツッコミどころは満載だし、よかったのかはわからないけど

まあみんな言ってくれました。ほっ

 

T怒ります どんな風に?

Sおばけのように怒ります

Tこの場合は鬼です

 

T性格がとっても明るいです

S????

これは失敗でした。性格が明るいをうまく説明できませんでした。

後の学生の文作で「◯◯さんは 陽光のようですね」ってのが出たので

この時に改めて「太陽のように」を紹介しました。

 

__ いざ活動 __

若者が集まってお互いを褒めるっていいですよね。

悪い気しませんよ。

最終的には

「◯◯さんのような彼女がほしいです」なんていう告白も出てきて

顔がりんごのように赤くなってました。

 

学生の話たいをもっともっと引き出せるように

ポジティブなアンミカさんみたいな授業を心がけたいなあと思った次第です。

 

【日本文化】じゃんけんしようじゃないか

教材で「じゃんけん」についてのものがありました。

教科書に沿って、一通り終わってからが本番です。

日本人の日本語教師として

彼らが、日本社会でこれから待ち受けるであろうジャンケンという勝負に

気負いせず、ハンデなしでしっかりと挑めるようにサポートします。

 

はい、まず隣の人とじゃんけんしてください!

 

__ さて、かけ声は? __

はい、どうぞ〜3回勝った人が勝ちですよぉ。

シーーーン

そりゃそうだ。真面目な授業の中でいきなりじゃんけんって!

最初は戸惑いが隠せません。

 

「じゃんけんぽん!」「じゃんけんぽい」

同じだったら??

あいこでしょ

 

このかけ声のリズム感も練習です。

じゃんけんで何かを決める時は突然訪れますからその時に

そのリズムに乗れなかったらいけませんからね。

 

__ 先生、これなんて言いますか? __

じゃんけんをしているうちに、母語ではわかるけど日本語でわからないことが出てきました。

「先に3回勝った方が勝ちという場合はなんて言いますか?」

おお!それ、伝えようかどうか迷っていたやつだ。

「東京では さんま! です」

「5回だったら ゴぉマ」です。

実際にやってもらってこれも覚えてもらいます。

 

__ さあ、じゃんけんで何を決めますか? __

じゃんけんで決める時ってどんな場面?

じゃあ、どんな会話をするかな?

ということで、じゃんけんをするまでの会話も考えてもらい

そしてじゃんけんまでの会話を発表してもらいました。

 

最初はポカーンとしていた学生も

この頃にはきちんと会話を作って発表してくれました。

 

発表の中に AチームとBチームを決めましょう。っていう会話がありました。

おお!これも伝えようと思っていたことじゃないか!

 

__ 2つに分かれる時のじゃんけん __

これはじゃんけんとは言わないのかな?

2つのグループに分かれる時は

「グ っと パ〜 でわかれましょ!」

もしくは短く

「グっとパっ!」

 

はい、これで彼らがいつかどこかで2チームに分かれる時に

間違えてチョキを出す心配がなくなりました。

 

__ リズムが大事だから __

じゃんけんぽん!のリズムだけじゃなんか合わない時ありますよね。

そこでよく使われるのが

「最初は グー じゃんけんぽん!」

これも紹介して練習。

最初の頃より格段に、それらしくなってきました。

 

__ チャンスを逃して欲しくないから 1対大人数じゃんけんも練習 __

そんなものも練習するんかい?ただ遊んでるって話もあるな・・・

よくありますよね。「1人」対「大人数」のじゃんけん。

立ってじゃんけんを始めて、負けた人とあいこの人が座っていきます。

 

勝った人が、今度は前に出てもらってみんなとじゃんけん

何回かやりました。

 

そして、この方法は自分の国にはないと言ってました。

おお、そうか。それは練習してよかったわ。

 

 

グー、チョキ、パー の導入から

格段に上手にじゃんけんができるようになって終了。

さあ、いつ日本人とじゃんけんをする日が来るかな。

その時に今日の日のことを思い出してもらえたら嬉しいです。